東海道・京都まで歩いて行ってみた

【東海道・徒歩の旅2】(神奈川・大磯~三島)


前回の旅から

4日目 大磯~箱根湯本

9月の3連休のこと。自分は再び「東海道・徒歩の旅」に出発しました。

東京から電車に乗って「大磯駅」に向かうと、準備運動もそこそこに、早速歩き始めます。
「また旅が始まるんだ」と思うと、思わず気分がワクワクしてきました。
今日の目的地は「箱根湯本」。6時間ほど歩いて、午後5時までには到着する予定です。

4ヶ月前、日本橋~大磯を歩いた時、あまりの辛さに「もう二度と徒歩旅なんてやるか」と思いました。

でも、辛さ8割の旅にも楽しい時間はあったし、何より
「東海道を最後まで歩いて、京都まで行けたら面白そうだぞ」と思うと、
最後まで歩きたいという気持ちがふつふつと湧いてきたのです。

京都まであと400km以上あるけど、時間をかければいつかは着くでしょう。

歩き始めるとすぐ、ウォークマンでキリンジの「グッデイ・グッバイ」を流しました。
前回、この曲を聴きながら歩いてみたら、自分の歩くリズムと曲のテンポがピッタリだったことが判明。
いつしか「グッデイ・グッバイ」はこの旅のメインテーマになっていたのです。

12時30分。海岸沿いの道をひたすら歩きます。
茅ヶ崎のビーチと比べて、大磯のビーチは石がゴロゴロしており、海水浴には向かない模様。
試しに裸足で歩いてみたら、石がツボに当たってものすごく痛い!

たまに、砂浜が海で分断されている場所があったので、そこは靴を脱いで渡りました。

  

ふと、小学生くらいのコスプレした女の子たちと、大人たちが撮影会している場面に遭遇。
なんだか怪しい……?

あやしい光景

やがて小田原に到着しました。
ここまで16.5kmを4時間30分で歩いており、かなり良いペース。
気分が乗っているので、小田原城をスルーして、そのまま進みます。

小田原を越えると緑が濃くなっていき、山が深くなっていくのを感じました。
同じ神奈川でも、やっぱり湘南と箱根では全然雰囲気が違うな……

   

箱根湯本に到着

午後4時50分、箱根湯本に到着。
霧がうっすらと立ち込める山々に、静かに流れる早川。箱根湯本は、まさに温泉街という雰囲気にあふれていました。
東京から歩いて4日目で、こんなにも町の景色が変わるなんて。
なんだか、すっかり遠くまで来た気分です。

宿を取っていなかったので、案内所を訪問しました。
案内所では、貫禄のあるおばあさんが対応してくれて、1泊6,500円の旅館を予約してくれました。

箱根でもそこそこ安い宿があって助かった……。

おばあさんに、自分が東海道を歩いていることを伝えると、
「そう、東海道を歩いて旅する人は、みんなうちへ来るのよ。何か困ったら連絡しなさい」
と言って、案内所の名刺をくれました。

この日はものすごく調子が良く、21kmの道のりをほとんど休憩なしで歩けて満足です。
今回の旅では、軽くて歩きやすいトレイルランニングシューズを用意したのが効果的だったようです。

わたしが宿に着く頃には、箱根はすっかり日が暮れていました。
夜の箱根は覆いかぶさるような暗さで、駅やホテルの明かりだけがポッと浮かんでいる状態。
観光地で迎える夜って、寂しいと同時にワクワクしてくるから不思議です。

 

5日目 箱根湯本~芦ノ湖

朝9時、宿を出発。今日は箱根の峠を越えて、芦ノ湖を目指します。
外は雨が降っており、ちょっとうれしくない天気です。

国道1号を歩いていると、結構な山奥なのに、民家がちらほら建っているのを発見。
買い物はどうするんだろう、仕事はどこへ行くんだろうと、あれこれ気になりました。

午前11時。東海道のシンボルというべき「旧街道石畳」を歩きました。

道は当時の雰囲気がそのまま残っており、今にも旅人の姿が目に浮かぶかのよう。
昔は小田原~三島までの峠は「箱根八里」と呼ばれており、その急勾配は多くの旅人を苦しめたといわれています。

石畳を歩いて困ったのが、道がつるつる滑ること。どうも雨の湿気のせいで、苔が滑りやすくなっているようです。
何度も転びそうになり、とうとう派手に転んだかと思うと、尻もちをついてしまいました。

12時30分。雨脚が急に強くなり、パンツの中までびしょ濡れの状態に。どうしよう、夏なのに凍えるほど寒い……
もう少し「甘酒茶屋」という店があるらしいので、目指して必死に歩きました。

やがて「甘酒茶屋」に到着。

 

囲炉裏があったので火に当たらせてもらうと、かじかんだ手がほぐれていくのを感じます。
昔から存在する茶屋で疲れを癒やしていると、自分も旅人の一員になった気分を味わえて、嬉しくなりました。

親切な店員さんが
「旅の人ですか? ゆっくり温まっていいですからね」

と言ってくれたので、ご厚意に甘えて体が乾くまで滞在させてもらいました。

嵐の芦ノ湖に到着

午後2時。目的地の「芦ノ湖」に到着しました。
芦ノ湖は風が大荒れで、湖とは思えないほどの大波が起こっている状態。ほとんど台風みたいな天気でした。

 

ここで宿を取ろうとしたけれど、どこも満室でした。
次の宿泊地・三島に行くまでは、峠を下ってもう20kmほど歩く必要があるけれど、この嵐ではとても進めそうにありません。

こうなったら野宿かなと、バス待合室のベンチに座り、30分ほど過ごしてみました(実際は10分ぐらいかも)。
寒いし、心細い……。これで日が暮れた後のことを考えると、背筋が震えます。

宿代わりにしようか迷ったベンチ

交番やバス会社出張所を回って、軒下で寝泊まりできないか頼んでみたけれど、どこもダメでした。

もうどうやっても芦ノ湖温泉には泊まれないことがわかったので、バスと電車で箱根湯本まで撤退。
一応、歩き旅なので、公共交通機関を使うのはかなり不甲斐ない結果でした。

さすがにもう、当日に宿を探すのは難しい地域まで来たのかな……

夕方。
箱根湯本に戻ったわたしは、あのおばあさんがいる観光案内所へ向かいます。
おばあさんは昨日と同じ宿に電話をかけると、
「昨日よりも狭い部屋だから、6,000円で良いって」
と言いました。そして、

「まぁ芦ノ湖はねぇ、高いホテルが多いし、一人だとあんまり泊めさせてくれないのよねぇ」
と、慰めてくれました。

宿で一息つくと、わたしは
「明日は『芦ノ湖で宿が取れた』という前提で、旅を再開すればいいじゃないか」
「この旅は自己満足のものなんだから、どんな結果でも自分が満足できれば、それでいいじゃないか」
と、気分を入れ替えました。

実際、この旅はお金や名誉はかかっていません。
「歩いて京都に行く」ことだけが目的の自己満足ツアーなのだから、自分が納得して旅をできるなら、それで良いのです。

6日目 芦ノ湖~静岡県・三島

朝9時。バスで芦ノ湖まで戻ると、旅を再開します。
今日の目的地は三島で、距離は21km。

今朝の芦ノ湖は鏡のように静かで、まるで憑き物が落ちたようでした。

静まり返った芦ノ湖

箱根関所を越えると、「箱根旧街道杉並木」を通過。
見たこともないような巨大な杉が立ち並んでおり、まるで自分だけ小さくなってしまったような気分です。

箱根関所 箱根旧街道杉並木

静岡県に突入!

やがて箱根峠を越えると、静岡県に突入しました。
東京を出て6日間。ついに神奈川県を出たぞ!

国道を歩いていると、反対側の道路で、作業着のおじさんが大声で自分を呼んでいるのを発見。
なんだろうと近づいてみると、おじさんは

「あんた、東海道歩いているのかい? 旧道の入り口はこっちだよ。
旅してる人はみんな気づかないからさ、俺、見つけ次第声をかけてるんだよね」

と、親切に教えてくれました。

おじさんの教えてくれた道を歩くと、竹やぶがトンネルを作る、幻想的な道に出ました。
人気が全く感じられないその道は、まるで時間が止まっているのかと思うほど静か。歩いていると、思わず息を止めたくなります。

     

ひたすら峠を下っていると、平野の景色が見え始めました。

見通しの悪い山道に息苦しさを感じていたところなので、開けた景色を見られるのは嬉しい。
静岡県に来るのは初めてだけど、山と平野が続く光景は、なんとなく静岡っぽいなと思いました。

山を下り、無事に「箱根八里」を越えると、三嶋大社に立ち寄ります。
境内にはキンモクセイの香りがふんわり漂っており、懐かしい気分に。
あとで、三嶋大社のご神木がキンモクセイだということを知りました。

そしてゴールの三島駅に到着。

在来線で東京まで帰ったら、3時間近くかかり、結構疲れました。
「電車で3時間もかかるほど、遠くまできたな」と思うと、なんだかとても誇らしい気分です。

今回の旅は「1日20km」と余裕のある行程にしたので、途中でべそをかいたり、足をひきずって歩くようなことはありませんでした。
どうしよう。旅慣れていくにつれて、この、辛いはずの旅が楽しくなってきたぞ。

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