インタビュー企画

やりたいことを仕事にした人にインタビュー! 失恋をきっかけにお花の道へ――フローリストの遠山さん


やりたいことってどうやって見つけたらいいの?

最近「やりたいことを仕事にしよう」「好きなことを副業にしよう」といった声をよく聞きます。

でも、やりたいことがない人は、どうやってそれを見つけたらいいのでしょうか?

この企画では、やりたいことを仕事にした人達にインタビュー。みなさんの「やりたいこと」探しをお手伝いします。

フローリストの遠山さんにインタビュー!

今回インタビューしたのはフローリストの遠山奈美江さん(46)。20代の頃からお花の道を歩んでいます。

遠山さんは上板橋にある「アトリエgreen」を営んでおり、リース作りや、ブーケ作りなどのワークショップを開催しています。

店内には遠山さんが作った作品がずらり。お花に囲まれた癒しの空間です。

――お花の道を歩んで20年以上の遠山さんですが、この世界に入ったきっかけはどこにあったのでしょうか。

「学生時代はお花は全く好きじゃなかったですね。高校の頃は軟式テニスをやっていて、朝から晩まで部活漬けでした。だから『自分は何に興味があるのか』『どんな仕事に就きたいか』なんて、考えたこともなくて。

高校を出たら短大に進学してコミュニケーション学を学びました。2年生で就職活動を始めて、OB訪問をきっかけに通信会社に就職したんです」

当時の自分を「レールを行くような人生だった」と振り返る遠山さん。

「高校から短大に進学して、進学したら、じゃあ就職して。そんな風にレールに乗って生きていくのが普通だと思っていたんです」

そんな遠山さんに試練が訪れます。

失恋をきっかけにお花の道へ

大手通信会社に入社して1年。遠山さんは初めて恋をしました。

「高校が女子高だったので、初めて彼氏ができたのは20歳の時だったんです。彼とは家族ぐるみで仲良しで『このまま結婚するんだな』って思っていたぐらい。ああ、またレールに乗った人生を進んでいくんだなって思ってたんです」

しかし1年後、思いも寄らない事態が起こります。

クリスマスイブに彼にフラれたんです。デートの帰り道、急に『別れよう』って言われて……心にポッカリ穴が開いちゃいました。わたしは初ボーナスで買ったプレゼントだって用意していたのに……」

あまりのショックに、母に背中をさすられながら大泣きした遠山さん。

「今になって考えると、お互いを束縛しすぎていたかもしれないって思うんですけどね。ただあの時のわたしは、そんな風に考える余裕もなかった。とにかく失恋のショックを乗り越えないと自分がどうなってしまいそうでした」

この気持ちをどうやって乗り越えたらいいのだろう? 彼女が思いついたのは、とてもロマンチックな方法でした。

彼がお花屋さんで働いていたんです。『将来は独立して、お花屋さんをやりたい』って言っていて。それなら、わたしもお花を勉強しよう!そうすればいつか彼と再会できる!って思ったんです。その時だって、お花なんて全然好きじゃなかったんですけどね(笑)

再会は突然に

彼にもう一度会いたい。その思いを胸にお花を猛勉強した遠山さん。その姿は鬼気迫るものがあったといいます。

「両親はわたしがフラれたショックで意地になっているって思っていたみたいで(笑)母は『あの時のあなたは相当怖かった』って言っていましたね」

お花の本を読み漁り、時にはお花屋さんのお手伝いもした。すべては彼に会いたいという思いからでした。

そして4年後、その瞬間はやってきます。

「お花の市場にいたら、向こうから彼が歩いてきたんです! 遠くから見ただけで『あっ彼だ!』ってわかりました」

しかし、その時遠山さんの胸に浮かんだのはうれしさとは別の感情でした。

「彼を見て『何とも思わない』とは言わないけれど、すでに失恋のショックを乗り越えられていたことに気づいたんですね。だから彼を見ても『ああ、彼はわたしに花を始めるきっかけをくれたんだな』って、少し達観した気持ちになったんです」

こうして遠山さんに残ったのは「失恋を乗り越えられた」という自信と「お花を続けたい」という思いでした。

「もし、わたしが『お花が好き!』っていう気持ちからお花の世界に入っていたら、逆にこんなに長く続けられなかったかもしれないですね」

と、遠山さんは振り返ります。

渡仏してお花を学ぶ

失恋を乗り越えてから1年後。遠山さんは25歳でフランス・パリに渡ります。

「理由はいろいろあるけど、とにかく今の環境から飛び出したかったんですね。進学も就職もすんなりできたけど、自分について考える機会がなくて。だから、知らない場所で自分を試したいって思ったんです」

職場の転属も追い風となりました。

「事務職から営業職に転属になったんですけど、営業職の人はスーツを着ないといけないんですね。でも、なぜか『スーツを買いたくない!』って直感的に思って。その時『よし、お花をやろう』って思いました」

仕事に不満はないし、職場の人間関係にも恵まれていた。それでも、彼女は会社を辞めることを決意しました。

そして遠山さんは観光ビザでフランスへ渡ります。

――当時、遠山さんは簡単なフランス語しか話せない状態だったそうですね。そんな状態で渡仏することに不安はなかったのでしょうか。

「不安はなかったですね。今までの人生では先がわかっているレールを進んでいたので、先がわからない道を行くことに、むしろワクワクしていました! 会社を辞めたことで、親には泣かれたけど……(笑)」

こうしてパリに降り立った遠山さんは、毎日お花屋さんを見て回ります。

「良いなって思ったお店には、手紙を書いたり、直接交渉したりしました。でも、2週間かけても雇ってくれるお店が見つからなかったんです」

半ばあきらめかけていたところ、彼女は一軒のお花屋さんを見つけます。

「あっ、ここで働きたい! って直感的に思って、身振り手振りでお店の人に気持ちを伝えたんです。でも、うまく言葉が伝わらなくて……そうしたらラッキーなことに、ちょうどそのお店で日本人の女の子が働いていたんです。彼女が話を取り次いでくれて、働けることになりました」

運命の出会いに救われた遠山さん。その女の子とは20年経った今でも付き合いがあるそうです。

こうしてフランスのお花屋さんで働き始めた遠山さん。その時、初めて「好きなもの」に触れる感動を味わいました。

「フランスが好き! っていう気持ちで渡仏したので、いざお花に囲まれると『うわーっ!』ってなって。あれは初めての感覚でした。好きなものを見つけると、細胞がぶわーってなるんですね!」

――海外で働くということに、ストレスは感じなかったのでしょうか。

「ストレスはなかったですね。しいて言えば、当時の彼(今の旦那さん)と、国際電話で通話してたんですけど、わたしが何を話しても『うん、うん』ってぶっきらぼうな返事しか来なかったことぐらいです(笑)」

フランスでお花屋のお手伝いをした時のことは、20年たった今でも鮮明に遠山さんの心に残っているそうです。

帰国。そして『アトリエgreen』オープンへ

3ヶ月後、観光ビザが切れるのに合わせて遠山さんは帰国。今度は東京のお花屋さんで修業を始めます。

「そのお店はとにかく厳しくて。毎日遅くまで働いたし、『今じゃ言っちゃいけないような罵詈雑言』を浴びることもありました。でも、わたしはお花に関して辛い経験をしたことがなかったので、今となっては必要な経験だったと思っています」

そのお店では5年間修行。その後、結婚、出産を経て「アトリエgreen」をオープンします。

「最初はお店をオープンする予定はなかったんです。このお店、昔は倉庫代わりに使っていたんですよ」

当時、遠山さんは自分が買ったお花や植物を空き店舗に置いていた。それを見た地元の人が興味を持ち始めたのだそう。

「外から見ると植物がいっぱいあるので、何かのお店に見えたんでしょうね。地元の人が『何のお店をやるの?』『ここでコーヒーを飲めたら素敵だね』って言ってくれて」

アトリエgreenの外観。オープン前もこんな感じだったのかも!?

当時、子どもが生まれたばかりだった遠山さん。ワークショップなら子育て中でもできるかも、と思い『アトリエgreen』をオープンすることに。

「お花屋さんを経営するとなると、資金的にも肉体的にも大変。でも、ワークショップなら個人でやりくりできるんですね。

最初は子育てママを対象にした小さなレッスンを開いていたけれど、徐々に口コミが広まって、色々な人が来てくれるようになって。やがて、収入的にもワークショップ一本でやっていけるようになりました」

――子育てをしながらのワークショップ、大変だったことはなかったのでしょうか。

「子どもが病気になったらどうしよう、自分が倒れてしまったらどうしようって、当時は色々な不安を抱えていましたね。でも、たくさんのママ友仲間が支えてくれました。レッスン中も、先輩ママが色々なことを教えてくれましたしね」

やりたいことを仕事にした遠山さんが思うこと

――きっかけは失恋。そこからさまざまな道を乗り越えて「自分の好きなこと」を仕事にした遠山さん。その原動力はどこから来るのでしょうか。

「わたしの原動力は『このままの自分じゃダメだ』っていう気持ちです。彼にフラれた時もそうだし、渡仏しようと思った時もそうでした。うまくいっている時って、『何かを変えよう』っていう気持ちになっても、実際に動けないんですね」

――ありがとうございます。今、「自分の好きなことをやろう」という風潮が強いけれど、「好きなことで結果を出せない人」もたくさんいると思います。そういった人に向けてメッセージをいただけますか。

「今の時代って、なんでもすぐに結果を求められてしまいますよね。でも植物って、伸びるのが早いと風で倒れてしまうんです。人間もそれと同じ。長い時間をかけて、ゆっくり根を張って欲しいなって思います」

――では最後に「やりたいことが見つからない人」にメッセージをいただけるでしょうか。

『今いる場所から一歩出て、外の世界を見てほしい』って思います。さっき言ったように、居心地のいい場所にいると、自分を変えようっていう気持ちが起きないので。

もう一つは『とにかく多くの人と会ってほしい』ということ。人の話を聞くと、その人の経験や知識を、丸ごと自分のものにできる。それってすごいことですよね。そうやって、自分の視野を広げてほしいです」

遠山さんのレッスンを体験!

ここで遠山さんのワークショップを体験させていただきました。

今回体験したのはお花のボックス作り。

遠山さんが市場で卸したお花を、小さな箱に詰め込んで接着していきます。

お花の配置バランスを考えたり、色合いを考えたり、やってみるとすごく繊細!

そして完成したのがこちら。

植物の生命力があふれ出す、素敵な作品ができあがりました!

お客さんの声を取り入れながら、今もどんどん新しいことにチャレンジしている遠山さん。たくさんの試練を越えて、好きなことを仕事にしているその姿は、とても輝いていました。

店舗情報

店名:アトリエgreen

HP:https://www.greenworktokyo.com/

住所:東京都板橋区常盤台4-5-23

アクセス:東武東上線「上板橋駅」から徒歩約7分

カフェ営業日:毎週 日・月・火曜日

営業時間:11:00-18:00

ワークショップ開催日:HPを参照

リース作りを体験した時のレポートはこちら↓

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